「来週から冬休みに入ります。はい、これプリント。冬休みの心得と宿題の一覧ね」


そう言ってHRで先生に渡されたプリントを眺める。

『冬休みの心得』と書かれたプリントには項目が10つくらい書いてある。

だけどこんなのちゃんときっちり守る人なんて少ないだろうな。


「ま、ちゃんと見とけよ。それじゃあHR終了。あ、そうだ日直、後で職員室にノート取りに来て」


先生はそう言って教室を出て行った。

冬休みか。本当にこの休み明けちゃうと先輩も卒業なんだなー。

とは言ったもののなんだか実感が沸かない。


「おーい、三瀬」


突然、目の前から名前を呼ばれ、はっと我に帰る。

私の名前を呼んだのは同クラの速水至(はやみいたる)。


「わっ!?は、速水くん!」

「俺ら今日は日直だぞ。ノート、さっき担任言ってたろ」


速水くんは私の頭にコツンと拳を当てた。

速水くんはクラスでも中心的な存在で黒髪の短髪がよく似合う。

スポーツも万能で性格も明るくて正義感もある。

ただ勉強は出来ないんだけどね。


「あ、そっか。ごめん。行こっか」

「おう」