「心向、大丈夫?さっき転んだんじゃ・・・」


レースが終わると共にユウカちゃんが駆け寄って私の膝を見た。


「うん。ごめんね。せっかく1位だったのに・・・。私が転んじゃったせいで・・・」

「リレーなんかいいよ。それよりあんた本当によく転ぶね」


ユウカちゃんは擦り傷程度の私の傷を見て安堵した様子で笑っていた。


「消毒しにいこっか。もう心向は自分の競技終わったんでしょ?」

「うん。ありがとう。でも大丈夫だよ。一人で行ってくるね」

「そう?心配だな。でもあたしも次の競技あるし、保健室行けば保健の先生もいるよね」

「じゃあ行ってくるね。ユウカちゃんは次の競技も頑張って」


私はそこでユウカちゃんと別れた。

保健室は生徒玄関から近いのですぐに行けた。


─ガラガラ─


保健室のドアを開けてもそこにはまた誰一人いなかった。

すると急に涙がどっと溢れた。


「う、ぐすっ・・・ふぅ、う・・・っ」


泣くな。泣くな。ヘマをしたのは自分の責任でしょ。だから泣かないで。早く涙止まって。もう、何も思い出したくないよ。・・・先輩。

またさっきの光景が頭に浮かぶ。

先輩と仲よく話す光景、女子生徒が先輩をカッコいいね、て好奇の目で見ていたこと。

するとまた胸が抉(えぐ)られるように痛くなった。

この感覚、知ってるよ。

ヤキモチでしょ・・・?