─裏庭─



裏庭は校舎の影で薄暗かった。


「話って?」


私が話しを切り出すと、速水くんは少し躊躇ってから口を開いた。


「・・・三瀬って、す・・・好きなヤツとかいんの?」


速水くんと目が合う。

私は動けなかった。

動揺はきっと表情に駄々漏れだっただろう。


「・・・え」

「あーっ、そんなんいいや」


速水くんは頭をくしゃくしゃっと掻いて、続けてこう言った。


「三瀬が、好きだ」


速水くんは私に真っ直ぐな、本当に真っ直ぐな瞳を向けた。