─数十分後─


浜では屋台を提げる号令がかかる。

私達もそれを合図に笛を吹きだす。

・・・先輩、どこだろ。

無意識のうちに先輩を目で探してしまう自分がいた。

あ、いたっ。

なのに見つけても目を合わす事さえ出来ない。

私は先輩と目が合いそうになる度に顔を逸らした。


「なんかさ、心向ちゃんアタシがトイレ行ってから様子おかしいよね〜」


ミウちゃんは休憩中に私の顔をしげしげと見る。


「・・・え、え〜?そぉ〜?」


会館まで練り歩く間、休憩が何度か挟まれる。

その間も大人は飲んだくれて気持ちよさそうにしていた。

そして陽汰先輩は・・・私の2mほど先に友達と座っている。


「あ、分かった!もしかして、その片想いの人が今いるんでしょ!?」


ミウちゃんは大きな声でそう言った。

これ、先輩にも確実に聞こえたよね・・・。

私はチラっと先輩に目をやる。

すると、先輩もこっちを見ていた。

勘違いなんかじゃない、確かに目が合った。