*ふわり、はつこい*

先輩はその綺麗な白い指で私の涙を拭った。

先輩の手は驚くほど冷たくて、私の頬の火照りの熱を奪った。


「・・・ごめん。俺の・・・せい・・・?」


先輩は呆気にとられている私の顔を覗き込んだ。


「え、あ・・・先輩のせいじゃ・・・っ」


私は否定をする。

これじゃ"先輩が好き"て言っているのと一緒だから。


「うそ。さっきから俺と目合わせない」


先輩にそう言われて私は気付いた。

自然と先輩と目を合うのを避けていたんだ。


「・・・っ」


その瞬間、体が熱に包まれた。

その熱の正体は・・・先輩。

先輩の腕が私の背中にあった。

・・・えっ?