自転車が私の横を通過する。

私は反射的にその自転車を目で追った。

すると自転車はキィッと音を立てて、私の少し手前で止まった。

・・・?

私は自転車に目を向けたままにする。

自転車に乗っている人は向こうを向いていて、しかも暗くて誰なのかも分からない。

私は道をその自転車に遮られ、足を止める。


「・・・」


すると自転車に乗っている人がこちらをくるっと顔だけ向かせた。

それと同時に月明かりで視界が明るくなる。


「・・・ッ」


・・・先輩っ!?。


「よっ。やっぱり心向ちゃんだったんだ」

「せ・・・先輩!」

「声かけようと思って自転車止めたんだけど、もし心向ちゃんじゃなかったらって思ってさ」


先輩はしれっとした表情でそんなことを言うんだ。