─10時─


「もうそろそろ帰らないとねー」


ミウちゃんはガラケーをパタンと閉じてそう言った。

私も「うそっ」と自分の携帯を見た。


「本当だ。帰ろっかー」


私達はそれぞれ立ち上がり、帰ることにした。

帰り道はミユちゃんも途中まで一緒。

笛をやる女の子は基本的に同い年か、仲のいい子と帰るので私はいつもミユちゃんと帰っている。


「じゃね、バーイバイ。また明日」

「うん、バイバイ」


私達は自分達の帰り道を歩く。

暗い夜道を歩いていると後ろから自転車のカラカラという音がした。

・・・これが先輩なら、な・・・。

儚いこんな思いさへも砕かれてしまうんだろう。

私は俯いて歩く事にした。