シュンと私は
別れてから、デートをする約束をした。


デートの当日。

7時の待ち合わせ。

私は、待ち合わせ場所に行った。

でも、シュンの姿はまだ、なかった。

肌寒い季節。
一人で、シュンが来るのを待っていた。

でも、なかなか、来ない。

10分待っても15分待っても来ない。

【きっと、寝坊したんだ。】
と思い。
私は、30分だけ待つ事にした。

30分が立とうとした頃
慌てて、シュンが

「ごめん!ごめん!待たせた!」

と走ってきた。

シュンの顔は、少し必死に見えて
私は

「大丈夫だよ~。」

と答えた。

シュンは

「寒かっただろ。ごめんな。」

と言いながら、私の手をシュンの手で温めてくれた。

シュンは、少し、言い訳ぽく

「リエと会えるのが嬉しくて。昨日、寝れないで。朝まで、起きてたら寝ちゃってた。」

と一生懸命、説明をしてきた。

私は

「だから。大丈夫。怒ってないし。」

とシュンに言った。

シュンは、また

「ごめんな。」

と言って、手をつないできた。

二人で。出かける前に、コンビニに寄ったら
私の姉が、バイト中だった。

姉は私たちを見て

『めずらしい、二人だね。どーしたの?二人揃って。』

と笑いながら聞いてきた。

シュンは

「今日、一日、リエを奪いにきました。」

と笑って答えていた。

姉は

『頑張って!』
とシュンに応援の言葉をかけていた。

前から、姉は私に

『シュン君とやり直したい方がいいよ。』
『シュン君の方が、リエには合ってるよ。』
といつも言っていた。

だから、シュンに
応援の言葉をかけていた。


シュンとコンビニを出て
二人で、電車に乗り

『夢の国』

に着いた。

平日なのに、凄い人だらけで
アトラクションに乗るのにも、何時間も待つ状態だった。

シュンと私は
アトラクションに乗るのに
その長い列の最後尾に並んだ。

回りは、カップルだらけ。
私は、シュンと別れているのに
こうして、デートをしている。
回りの人から見たら、やっぱり、カップルに見えるのかな?とか考えていた。

シュンは
自然に、私に肩を組んできたり
手をつないできたり
向き合い、見つめ合ったり
後ろから、抱きしめてくれたり

と普通のカップルみたいな事をしてきてくれた。

私も、いつの間にか自然に、シュンにもたれていた。

シュンは、やっぱり、あの頃と同じ
すごく、すごく、優しかった。

すごく楽しく、幸せな気分になっていた。

シュンと私は
『彼氏』『彼女』になっていた。


帰り際。
シュンは、おみやげを買ってくれた。

バイトで。頑張って稼いだお金で
私に、ぬいぐるみや、置物や、マグカップなどたくさん、たくさん、買ってくれた。


帰り。
また、電車に乗り込んだ。

帰りの電車は、一気にみんな帰る事もあって
ギューギューの状態だった。

そんなシュンは
私を必死にカバって、シュンが私の【壁】になってくれていた。

そんな、細やかな事でも
私は、すごく嬉しくて。嬉しくて。
たまらなくなった。

私も思わず、シュンに抱きついていた。

シュンが、近くにいる。
シュンの、呼吸が感じられる。

幸せだった。


シュンは、私を自宅まで送る途中
ひとつ前の駅で、私を降ろし

「一杯だけ、飲んで行かない?」

と言ってきた。

私は迷う事なく

「いいよ。」

と言い、二人で居酒屋へ入った。

シュンは、軽く一杯だけ飲んで。
思いきって私に、言葉をかけてきた。

「リエ。俺とやり直さないか?」
「返事は、今じゃなくていいから。考えておいて。」

と言ってきた。

私は

「うん。」

としか、返事ができなかった。


それから、シュンは私を自宅まで送ってくれた。

シュンとの、別れが辛かった。