シュンと会えない日が続き

私は
『どーしてもシュンに会いたい』

という、気持ちが強くなった。


八月の初め。

私は
二日間だけ、帰る事に決めた。

『二日間だけ、帰ったら、また、戻るから。』
と親を説得し、往復の交通費を出してもらった。

シュンに

「八月のあたまに、一回、帰る。会いたい」

と言ったら、シュンは、すごくよろこんでくれた。

「本当に、帰って来れるのか?駅まで迎えに行くから。」

と言ってくれた。

「二日間だけだけどね。」

と私が、言うとシュンは

「それでも。嬉しいよ。必ず、迎え行くから。」



……………………。


それから
期間限定。二日間だけ帰れる日がきた。

お世話になってる
おじさん。おばさん。さっちゃん。車で駅まで送ってもらい。

私は、電車に乗った。

初めて、一人で 特急に乗り
【ドキドキ。ワクワク。】
の気持ちと

シュンに会える。嬉しさと、久しぶりに会う緊張と。

気持ちが。高ぶっていた。

一人で電車に乗っている間も
長い道のりが、やけに長く感じ。

特急なのに、普通電車と変わらない感じに思えた。

寝てれば、時間がたつのが、早いかな?と思い、目を閉じても……………………。なかなか眠れない。

シュンに会ったら、何を話そうかな?なんて事を考えたりしていた。


電車から見る景色が
だんだん、見慣れた景色に変わりだした時。

【あ~。あと少しで、着く。シュンに会える。】

と嬉しさが、頂点に達しそうだった。

『本当に。シュンは、来ていてくれているのかな?』

と不安な気持ちもあった。


私が降りる
駅に着いた。

ホームから、階段を昇り、改札に向かって歩いて行った。

改札周辺は、お祭りの日という事もあって
人がいっぱいだった。

私は、改札周辺を見渡して
シュンの姿を探した。

181センチもある、シュンの姿は
すぐ、見つけられた。

でも。
146センチしかない、私の姿は
シュンは、なかなか見つけられない様で
シュンも小さな私を、一生懸命に探してくれていた。

私が、シュンの近くに寄って行くと

シュンは少し、驚いた様子で

「おー!お帰り。」

「ただいま。」

とシュンと私は、手をつなぎ
街へと行った。

『どこに行く?』とか。
話さず、二人とも。少し、照れながら、
ただ。手をつなぎ歩いていた。

私はシュンに

迎えに来てくれた事。ありがとう。
淋しい想いをさせてた事。ごめんね。

とシュンに言うと
シュンは

「いーよ。こうやって、また、会えたから。」

とシュンは笑っていた。


自然に二人で、お祭りの方へ歩いていた。


でも、私は。
少しの間、田舎にいたせいか

人混みの中に入ると、気分が悪くなった。

シュンは、私に。

「人混み。キツイか?」

と聞いてきた。

私は

「うん。少しね?」

と笑った。

シュンは

「どんだけ、人に会っていなかったんだよー。」

と私を、カラかった。

シュンは、私の手を離さず
人の流れを無視して、引き返して行った。

細い路地に入って
雑居ビルの非常階段を昇りだして、5階に着いた。

二人とも少し、疲れた感じで

『ハーッ』
と大きく息を整えた。

シュンは

「ここなら。二人になれるし。人も居ないから、大丈夫だろ?」

と笑って言った。

私も

「うん。大丈夫。」

5階から見る眺めは
お神輿や山車の明かりと、提灯の明かりで、暗くなり出してきている、夕方の街を明るくしていた。

私は、思わず

「結構、綺麗だね。」

とシュンに言ったら、シュンは真剣な顔で

「そんなのは、どーでもいいよ。リエは、俺を見てて。」

と言って私のあごを ヒョイッと上にあげ
キスをしてくれた。

シュンは、私に

「ちょっと。キザだった?」

と笑いだし。

私も

「いや。かなりね。」

と言って、二人で笑いあった。