シュンと会えない
電話だけの日々が続いた。

シュンは
毎日、電話くれた。

一日あった出来事や
【今日。何食べた?】
とか、くだらない話までして

私との会話の時間を大切にしてくれていた。

私の友達の話や
シュンのバイトの話や

私は、シュンの声が聞けるだけで
嬉しかった。

シュンは

「また。手紙書いて送ったから。」

と二日おきぐらいに、手紙を書いて送ってくれていた。
私も、近くに切手なんか売っているお店も
ポストもないのに

片道30分かけて
切手を、買いに。
手紙を出しに行っていた。

それを知っているシュンは

「リエは、手紙いいよ!大変なんだから。」

と言っていた。

でも。
私もシュンに手紙を書き続けていた。


電話でのシュンは
遠くにいるのに、近くにいる感じにさせてくれていて。
私を、癒してくれた。


そんなシュンでも。

たまに、泣き事を言ってきた。

「俺。会いたくて仕方ない。リエの顔見たいよ。」

と素直に気持ちを伝えてくれた。

私は

「うん。ごめんね。」
「私も。会いたいよ。」

て言う事しか出来なかった。


ある日
シュンが電話で

「来週の土曜日、行くから」

と私に言ってきた。

「なに、言ってんの?いーよー。来なくて。」

と答えてしまった。

シュンは淋しそうに

「行ったら迷惑?」

と聞いてきた。

「違うよ。遠いし、交通費かかるし、ここに来るまで、バス出てないよ。」

とシュンに、話したら

「大丈夫。心配するなよ。バス出てないなら、歩けばいーじゃん。」

「バカじゃないの?駅から、歩いて、どんだけかかると思ってんのよ!無理だよ!やめて!」

私は、少し、声を張り上げてシュンに言ってしまった。

『本当は、来て欲しい。会いたい。今すぐ会いたい。』

シュンに言いたかった。

でも。シュンに負担をかけたくなかった。

シュンは『私が本気に拒絶してる』と勘違いをしていたけど。

私は、シュンを止める事に必死で
せっかく
『行くよ。』
って言ってくれた、シュンの気持ちなんか考える余裕がなかった。

シュンは

「もう。いーよ。わかったよ。」

と、なんか怒っている様な返事をした。

私は

【よかった。】
と安心して、シュンの怒っている事に
何のフォローもしない
私がいた。

そのまま。
ちょっと、重たい空気のまま

電話を切った。