外は真っ暗だった。ろくに外に出た事の無い私。どうせ明るかったって分からない道を暗い中ただただ走り抜ける。
こんな事をしたらきっとお仕置きされる。お祖母様の杖で叩かれて、倉庫に閉じ込められる。一週間離れの電気を止められて真っ暗な夜を迎えなければならなくなる。
暗闇が嫌いな私には最も効果的だと小さな頃から繰り返されてきて選び抜かれたそれら。暗闇に居ると嫌な事を考えてしまう。閉じ込められると誰も居ない事を実感してしまう。そして永遠に続くのではと底を這うような不安が押し寄せてくるーー
ーーでも今は、その事すらどうでも良かった。
もうあそこで耐える意味が見つからない。このまま迷おうが、連れ戻されようがどうでもいい。どうしたらいいか分からない。助けてくれる人なんて居ない。私には友達が居ない、知り合いすら居ない。進むべき道も今居る場所も分からない。この先の未来も夢も希望も、見ることすら許されない。
じゃあ私は今、どこに居るの?
その瞬間、ポウっと先に光が見えた。



