ここに在らず。



私の声に彼は顔を上げる。まだ見えない彼の表情。でも私は知っている。そのフードの奥でジッと私を見つめてくれている事を。彼の傍へ行けばそれが確認出来る事を。


「…ふふ。やっぱり」


彼の目の前までやってくると、やっぱり彼はこちらを見ていた。私の言葉に訝しむ彼の灰色の瞳。

嬉しくて嬉しくて、私は自然と緩む表情を引き締める事が出来なかった。


「今日は…なんか、随分楽しそうだな」

「え?あ、はい。そうです、そうなんです」

「…そうか、それは良かった」


そして優しげに微笑むトウマさんの表情に私の胸は踊る。