ここに在らず。




だから、一緒に見つけていこう。



微笑むトウマさんはハッキリとそう言った。一緒に、見つけていこう。それは私とトウマさんの二人の約束で、それはこれからも一緒にいるのだと、改めて私に感じさせてくれる心強い言葉だった。


約束を交わした私はーー就職希望とだけ記入して、翌日に提出した。


とてもスッキリとした気分だった。何より世界が晴れやかで、どこまでも見渡せるような、そんな気がした。

私の未来が見えた。ついに私は、私の未来を見つけた。

こんなにも良い形で。



そして次の日だった。いつものように放課後、校門へと向かおうと下駄箱で靴を履き替えたその時だった。


「サエ様」


その人は、昇降口を出てすぐの場所に居た。聞き覚えのある声に、見覚えのあるその黒いスーツ。それは以前から私を迎えに来ていた使用人の方だった。


ここは学校の敷地内。だから本来ならば学校関係者しかここには入れないはずなのに、それなのに今この人はここに居る。そしてここは校門からは距離があるため、向こうからもこちらからも状況の確認は取れない。…つまり。


「お呼びが掛かっておりますので、お迎えにあがりました」


…この人は、本邸の人の指示でトウマさんに気づかれないように、私を連れ帰る気だ。


「嫌です、やめて下さい。トウマさんが待っていますので」


毅然とした態度でそう告げて、私は前を通り過ぎようとした。…けれど、


「トウマ様は今、校門にはおりません。学校側にも手が回されておりますので、サエ様には逃れる術が無いのです」


そう、表情一つ変えずにその人は言う。それに私は…不思議に思った。