ここに在らず。



トウマさんもこの危機的状況に気がついたのだろう。それはまずいといった苦笑いを浮かべた後、一緒に考えてくれようと尋ねてくれた。でも、


「……分かりません…」


なんて、こんな返事しか出来ない私。ほとほと自分に呆れてしまう。


するとトウマさんは「分からないのか?」と首を傾げて、なんでだ?と仕草で私に尋ねた。自分の意見を大切にするトウマさんだ、自分の事なのに分からないという私が理解出来ないのだろう。


「あの…分からないというか、何というか…なんだか私にはどちらでも無いような気がして…。…その、私にももっとこうなれたら…とか、思う事はですね?あるんです」

「うん」

「でも、それが進学するという事かというとなんとも…だからって就職するというイメージもつかなくて、だからもしかしたらどちらでも無いのかなぁと、思いまして…」

「…そうか。そうしたら、君のなりたいと思う事ってなんだ?」

「え?あ、えっとそれは…」