進学か、就職か。
私の中でやりたい事…というか、日々過ごす中でもっとこうなりたいとか、もっとこんな事が知りたいとか、出来ればと描く未来はあった。でもそれは、大学で学べるものかというとそういうものでも無いように思うし、もっと経験を重ねて得て行くような物なのではと思えるものだった。
だから私がやりたい事。私が望むこれからの未来。それに一番近いのは、用意された二つの道では無く、今ある日々なのだと、私はそう思うのだけれど…でもやはり、今はこの二つから選ぶべきなのだろう。それが普通なのだから…でも、何も知らない私だからそんな風に思ってしまうのだろうか。
「どうした?」
「……え?」
それは、その日のお仕事が終わった夜、家に帰って落ち着いた時の事だった。
「何かあっただろう?今日は一日悩んでいるようだったから」
心配そうに私を見つめながらも、トウマ
さんは優しく微笑みながら問いかける。それはいつものトウマさんで、私の事を気にかけてくれる昔からのトウマさんだけれど…私にはもう、分かっていた。ちゃんと気づいていた。
彼のその心配の裏には不安がある。彼はいつも、私に不安を抱いている。



