ここに在らず。



ナツキさんはペラペラとめくって私にそれらを見るように勧める。私はそれを目で追いながら、もしかして…と思う気持ちを一度心の中に閉じ込めた。ナツキさんがこんな風にするということは…きっと何か意図があるのだろう。


「…なんだか、黒ばかりですね」

「あぁ、気づいた?んじゃあそっから少し進んで…ここからだ」


ペラペラと進んでいくページ。それに連れてもう一つ、色が増えたことに気がついた。


「灰色?…少し薄く塗ってるんじゃないですよね?」

「だよな!俺も始め“これは黒ですよね?”って聞いて冷たい目をされた」


そう言って、楽しそうに、懐かしそうに、ナツキさんは笑った。「でも分かんないよな、やっぱ!」と、なんだか嬉しそうにも見えるその笑顔を私に振りまく。


「でさ、この後ついに色が無くなんだよ…ほら、ここら辺。次は塗り忘れかと思ってさ、その時もまた視線が突き刺さったっけなぁ」

「……」