ここに在らず。



ぐるりと部屋を一周見渡して、出た言葉はそれだった。…もっと良い言い方があったのかもしれない。例えば何のための部屋ですか?とか、あの洋服とかは何ですか?とか。でも私の口から出た言葉はそれで、ナツキさんもそれに「何ですか、ね」と少し笑っていた。


「ここは、ある人の想いの形が集まる部屋です」

「ある人の…想いの形?」

「そ。で、あれは新しく完成したやつ。どう?これ見てどう思う?」


その言葉で、私は近づいてその洋服らをじっくりと見てみた。パッと見た感じ、まず始めに抱いた感想はシンプルだな、というもの。飾り気が無いのだ。色も暗めの色のものばかりだし……でも、一つ一つ見て行くうちに、だんだんと見えて来たものがある。


「…なんだか、同じ色なのにデザインでこんなに違うんですね。色自体が明るく見える…あぁ、生地が違うのかな?でもその生地でもまた違く見えて…作りとか細かい所もなんだか見れば見る程違うような。一見あまり変わらなそうに見えるんですけどね」

「うんうん」