ここに在らず。



お風呂上がりのトウマさんが缶ビールを片手にソファへと戻って来た時。「で、どうした?」と尋ねる彼へ、私はそれを告げたのだった。

確かに、社会勉強がしたいと、そういう事になるのかもしれない。目標のために自分の力でお金を稼ぎたい。そして結果人として成長したいと感じている私は、確かにこれを機に社会勉強をしたいと思っていると言っても間違ってはいないのかもしれないと思った。…まぁ、社会勉強も込みで、というか。


「…えっと、ナツキさんにお話ししたらお手伝いして下さるそうで、でもそれにはトウマさんの了承が必要だと…その…いかがでしょう?アルバイトをしても…いいでしょうか?」

「……」


恐る恐るといった風に、私は尋ねてみる。でもトウマさんは、難しい表情をしたまま返事をくれない。


「……トウマさん?」

「……」

「……」


気まずい沈黙が続く。


トウマさんは今、何を思っているのだろう。