「流石の俺でもトウマさんに逆らってまでは無理だよ。だからほら、諦めろって」
やれやれといった様子で、ナツキさんは私に告げる。そこからは彼のこれでお終いと、そんな考えが私には見て取れた。
確かに無理だろう。トウマさんがダメだと言ったらそれは絶対にダメで、いくらナツキさんといえどやっぱりトウマさんの意見を曲げる事は出来ない。それを私も分かっているからこそ、諦めるだろうとナツキさんはほぼ確信したのだろう。
…でも、だ。
「…では、もしトウマさんからのお許しが出たとしたらナツキさんはその方法を教えて下さると、そういう事ですね?」
「……へ?」
私の提案に、思わず呆気に取られたようにナツキさんは数秒間動きを止める。そして、
「…本気?あんたマジで言ってる?」
そう、目をパチパチと瞬きさせた。



