「…えっとですね、私は、私の力で用意したいんです…。私はいつも良くして頂いてばかりで、まだ恩返しが何も出来ていない状態です。でもそのチャンスがこういう形でやってきて、ここでどうするかでまた一歩成長出来るのでは無いかと思っていて、だから今回、私は一から自分の力で用意したいなと思っていて、今の私ならきっと出来るのではなんて…だからナツキさんにお尋ねした訳なのですが…」
「……」
「でも…どうなんでしょう。やっぱり今から急にお金を稼ぐことなんて難しいのでしょうか、現実的に」
「……」
…なんて、改めて考えてみるとなんだかそう簡単にお金が稼げるとは思えないような気がしてきた。冷静になると分かるのは、9月はもうあと一ヶ月ぐらいで来てしまうという事で、実際問題いくら必要なのかも想像がついていない私にはどれくらい働けばいいのかもよくわからない、という事で。
…というか、働くなら一体どこでどんな事をすればいいのだろう。あの家から出ていなかった私には社会のルールがさっぱり分からないし、それどころかどんな職業があるのかも分からない。そんな自分でも雇ってくれるような所はあるのだろうか…。
「まぁ、無理だろうな」



