上の空…というか、もしかしたら昔を思い出して懐かしんでいたのかもしれないし、そんな現実に感慨深く感じていたのかもしれない。そして、そんなナツキさんは再度私へと意識を戻すと、「まぁ、アレだ」と話を戻す。
「あんたの言いたい事は分かった。でもそれなら別に自分の分から出せば良いんじゃないのか?あんたの分なのにそこから出すんだからあんたからのプレゼントになるだろ?」
「い、いやでもそれは元はと言えばトウマさんが稼いだお金で、それを使ったら結局トウマさんのお金から出した事になりますし…」
「いやいや、もうあんたの分だからあんたが出す事になるだろ」
「いえ、ですからそうでは無くて、あのー何と言うか、そのー…」
ナツキさんは、まごつく私に“何が可笑しいんだ?”と首を傾げている。でも可笑しいのだ。私の中ではそういう事では無いと分かっている。私的に重要なのは誰のお金かでは無くて、それまでの過程なのだ。



