ナツキさんは、物凄く怪しんでいる。私がこんな事を言い出すには何か裏があるはずだと、そう思っているに違いない。
そんな彼の私を怪しみ放つなんだか刺々しい雰囲気に、ついつい私は口を開く事を渋ってしまうのだけれど…でも、ここで行くしかない。どうしても必要な事なのだ。…うん、言うしかない、分かって貰おう!
「…あの、もうすぐ9月なんです」
「あぁ、そうだな」
「だからその、プレゼントを用意したいなと思っていまして、私がちゃんと一から用意したいなと、だからそのためのお金がですね、必要だなと思っていまして」
「プレゼント?誰に?」
「と、トウマさんにです。トウマさんは9月6日が誕生日だとおっしゃっていたので、それまでに用意出来たらなと思うのですが…どうでしょうか?」
「……」
尋ねる私にナツキさんは少し考えるような素振りをみせた後、「そうか、あの人も着々と三十路への階段登ってんだなー」なんて、何処か上の空のような感じで呟いた。



