ここに在らず。



私が私の力で、トウマさんのために用意がしたい。


「…ナツキさん。もし、ですね?もし私がお金を稼ぎたいと思ったら…どうすればいいのでしょうか?」

「………へ? 」


家に帰って来て一息ついた頃合いを見計らって、私はナツキさんに尋ねてみた。

するとナツキさんは始めこそポカンとして私を見ていたのだけれど、そのうちにみるみるとその目を真ん丸くさせていき、「え、何?金が足りないのか⁈ 」と、まさか!といった様子で尋ね返してくる。


私の自由に使えるお金は、お小遣いとしてトウマさんから頂いたものだった。頂く際に必要最低限でいいとは言ったのだけれど、始めだからと言ってトウマさんは足りなくなる訳が無いくらいのそれを私にくれて、その事実はナツキさんも知っているものだった。だからもう無くなったのかと彼はすごく驚いている訳だけれど…実際、私はまだ一円も使っていなかった。