ここに在らず。



「…はい、なんか…なんというか、やっぱり…今の私には、私を受け入れて下さる方が居ますから…」


口にしてみて、より一層それはじんわりと心に広がった。あそこは独りの私を思い出させ、私をそこへと連れ戻す場所だと思った。でもそんな事は無いと、今の私はあの頃とは違う場所に居て、何処へ行こうと独りでは無いのだと、そう教えて貰ったのだ。

私の事を、想っていてくれる人が居る、それは何よりも大きな勇気になった。だから私は、そこへ行く。行かなければならない、行くべきだ。行けるんだと思えた。


「私が変わったと、ナツキさんもお分かりだったのでしょうか?」

「お分かりだったのでしょうかって…あんたさ、その話し方なんとかしろよ」

「え?」

「堅苦しいっつーか、そんな言葉で喋る高校生見たこと無いし。それにアレだ。距離置かれてるみたいで何か嫌だ」