ここに在らず。



私が変わっていくのが寂しい。

そんな風にトウマさんが感じるとしたら、私はどうするべきなのだろう。

…だとしても、変わらないという選択肢は無い。そうだとしてもやっぱり私は変わりたいと思う訳で、変わらなければとも思っている訳でもあるし…というか、私はそんなに変われたのだろうか。変わったと、人から見ても分かるのだろうか。


今朝、「いってきます」と告げた私にトウマさんは、いつも通りの穏やかな表情を浮かべて「いってらっしゃい」と言ってくれた。昨日の今日でまた心配させてしまうかなとも思ったけれど、トウマさんはそれに関して何も触れない。ただただいつも通りに私を送り出してくれた。

昨晩の寂しいと私に言ったトウマさん。あの彼は一体何処へ行ったのだろう、なんて感じるぐらいにそれは普段通り。確か昨日の朝もそうだった。昨晩にみせたようなあの表情は一瞬で、すぐにトウマさんはいつも通りになってしまう。だから私は、別に大したことでも無いのかな?とも思ったのだけれど、でも…


「きっとあれは、本心だ」

「は?本心?」

「え?」