「まぁでも、これが最後だと信じてるからな、俺は」
…それは、少し乱雑な雰囲気を纏って告げられた言葉だった。それにまた私は、ナツキさんを見つめて固まってしまって……するとナツキさんは、ふんっとそっぽを向いた後、「一応トウマさんにも報告入れとくからな」なんて言って自らのスマートフォンを取り出し、ソファの上へとどかっと座った。
それは私からだと横顔だけが見える状態だった。怒っているようなナツキさん。それでも本当は、ナツキさんが照れているのだという事が私には分かった。何故なら横から丸見えの彼の耳が…まるでいつかのトウマさんのように、真っ赤に染まっていたから。
ーーそして夕時前。
ナツキさんが「そろそろ飯でも作るかー」なんて言ってキッチンへと向かったその時、ガチャリと玄関のドアが開く音がする。
え、こんな時間に誰?と、反射的に私達はリビングのドアの方へと目をやると、そこから入って来たのはこの部屋の主の彼。
「え、と、トウマさん⁈ 」



