ここに在らず。



「いや、謝る必要は無いよ」


苦笑いを浮かべているであろう私。そんな私にいつものようにそう言ってくれたトウマさんはその後、独り言のように「でもそれなら良かった」なんて呟いた。

そんなトウマさんの言葉に、ん?良かった?と首を傾げていると、目の前の信号が赤になり、車は静かに停止する。


「まだ今年の誕生日は来て無いって事だ。次の君の17歳の誕生日は、一緒に祝う事が出来る」


そして「去年の君はいつの間にか16歳になっていて、あっという間に2年生になってしまったから」と、私の方を見たトウマさんは、なんだか少し残念そうにしながらも、またいつもの優しげな微笑みを浮かべていた。