トウマさんが運転中の車内、助手席に座りワクワクしながら窓の外を眺める私に向かって、彼はふいに尋ねてきた。誕生日?と、突然な質問に首を傾げつつも、「ええっと、」と口ごもりながら私は答える。
「9月…ぐらいです」
「ぐらい?」
「あ、はい。ちょっと記憶に無くて…」
そして、私は当たり前の流れのように「すみません」と謝った。
折角聞いてくれたのに、答えられなかった事が申し訳なくて…でも、わざわざ今更その理由なんて口にしたら、それこそ場の空気を悪くしてしまうだろうしなと思ったからだ。
誕生日を教えて貰った事がありませんなんて、だから自分でいつ頃ここに生まれたのかを人に聞いて調べましたなんて、そんな事を言われたらトウマさんも困ってしまうに決まっている。



