「…泣かないで、サエ」


そう言ってトウマさんは親指で私の目元を拭う。その感覚でやっと気づいた。私は泣いていたのだ。いつから泣いていたのだろう、それすら分からない。


「す、すみませんっ…あの、本当に、本当に私、私は…最低です」

「君が間違っていた事なんて一つも無いよ。俺が力不足だったんだ。だから君にこんなに辛い思いをさせてしまって…俺のせいだ。君は何も悪くない」

「そ、そんな事、そんな事ないっ」

「違うよ。君と会える日々が楽しくて、嬉しくて、いつかは言わなければならないことだったのに俺は言えなかった。そんな俺の甘さが全ての原因だったんだ。…でも、もう一度。こんな俺だけど…もう一度だけ、チャンスが欲しい」

「…え?」