「…ナツキ」 それはなんだか、いつもより低い声だった。部屋から出てきたトウマさんは、ジロリとナツキさんの方へと目をやる。 「はい、何ですか?」 「…“何ですか?”」 「って、いや分かってますよ、分かってます。そりゃあ俺だってちゃんと覚えてますって。でもしょうがないじゃないですか」 心なしか刺々しく感じるトウマさんの視線の先、責めるような彼の雰囲気の中でナツキさんは苦笑いを浮かべながら答えた。私は何が何だか分からないけれどなんだか悪い雰囲気の中で、口を閉ざしてこっそりと会話に耳をやる。