ロッカーからしまったばかりの通学鞄を取り出すと、私は教室を出た。きっと私が出て行った事に気づいた生徒なんて居ないだろう。私なんて、結局そんなものだ。
学校を出て、私は歩く。何処かに向かった訳でもないし、行きたい所があった訳でも無い。ただ足を進めて、曲がり角を曲がって、また次の曲がり角まで歩いて…それをただただ繰り返していた。
兎に角無駄とも思えるくらいに足を進めると、大きな河のある河川敷に出た。舗装された道路から河に向かっては芝生の生えた坂になっていて、河辺はまた舗装されて道路になっている。平日の午前中といえど、そこはジョギングをする人や犬の散歩をする人などがちらほらと居て、きっと普段からここら辺の住民に愛されている河川敷なのだろうなと思った。
私は芝生の方へと進み、そこに座ってみる。ポカポカと暖かい太陽の日差しを感じる。日差しによって温められた地面がまた心地よかった。こんなの、初めてだ。約16年間この街に住んでいたのに、こんな所があるなんてこれっぽっちも知らなかった。



