小さなキセキ




「……。」


どうしよう




わたしは今、宙くんの病室の前。

つまり、名前の知らない彼の病室の前です。




何故かというと……




『あ、そうだ!

優花、この漫画さ、宙くんに届けてあげなよー!』


『そうねー、お願いできるかな

優花ちゃん』




という、愛実さんと真衣の頼みで

宙くんの病室の前にいるんだけど…



ただ、忘れ物を届けに来たのに

会うってだけで緊張して



ノックができません。