小さなキセキ





病院について、受付であの男の子の部屋のぼん号を聞こうとした時。


「あ…れ?

ちょっと待って?」


「ん?どした?」



きゅうに黙り込む私を心配して顔をのぞき込む真依。


「…知らない。」


「え?」


「わ、私…男の子の名前知らない。」


「…は?」




そうだ、私あの男の子の名前知らなんだ!



ぶつかったときは、また会いに来よう。なんて考えてもなかったから名前なんて聞かないし!


てか、名前聞くなんて発想もなかったし!



「…帰ろっか、優歌。」


「…はい。」


病院まできたのに、結局何もせずに帰る。


受付にいた看護師さんも「え?」と言う感じだったに違いない。