早瀬とああだこうだ話しているうちに、いつの間にか夢なんてどうでもよくなって笑っている自分が居る。


 早瀬の体内からはポジティブイオンでも出ているのだろうか。


 「早瀬とこんなに仲良くなると思わなかった。」

 一年の時は一方的にライバル視してたし、二年の最初は謎に嫌われていたし。


 「あー、一年の時は結衣に嫌われてたしね。」


 「え?」

 嫌っていたけど、感情を表に出したことなんて無かったし、早瀬に話しかけられた時も普通にニコニコしてた。ーーなんで、バレてんの?


 「気付いてないとでも思ったわけ?あんだけ俺を見てるクセに目合ったこと無かったし、顔に出てたんだよ。」

 ちなみにあたしは10年以上猫被って生きてきたから、演技は気持ち悪いほどにうまい。うまいはずなのにーー


 「俺が結衣を嫌ったような素振り見せれば、対抗して本性出すと思ったのに、見かけによらず手強かったな。」

 ケラケラと笑いながらあたしの頭を軽く叩く。


 「早瀬に、勝てる気がしないよ…」

 早瀬は最初から気付いていたんだ。こんなの初めてだ。あたしより早瀬の方が一枚も二枚も上手だったみたい。悔しいけど。