「麻紘、土曜日遊ぼー。」

 何も知らない早瀬は、そう言って麻紘くんを誘う。


 「いいけど、」

 麻紘くんは、あたしを気にしながらも早瀬に返事をする。予想通りOKみたい。


 「お前の大好きな斎藤と結衣もだから。」


 「は!?え、ちょっ…」

 みるみるうちに真っ赤に染まっていく麻紘くんの顔。一瞬、目が合ってすぐ逸らされた。


 「結衣ちゃん、ごめん。」


 「え?」


 「結衣ちゃんをあんな目に合わせて、斎藤が好きなんて、そんな資格無いのに…」

 別に麻紘くんのこと、恨んだりしてない。麻紘くんは、ちゃんと助けてくれたもん。


 「資格とかじゃないでしょ。」


 「え?」


 「好きになっちゃったなら、最後まで頑張りなよ!!」

 麻紘くんが悩んでたこと、ちゃんと分かったから。もう、責めなくていいよ。


 「頑張る、ありがとう。ーーてか、朔は棗(なつめ)に言ったの?」


 「もちろん。」


 「ね。棗ってーー?」


 「棗っていうのは、朔の彼女だよ。」

 早瀬の彼女かぁー。って、早瀬の彼女?!