「ていうか、麻紘くんはあたしで良かったわけ?」


 「知らね。」

 は!?


 「だってまだ麻紘に言ってないし。あ、今呼ぶ?」

 いやいやいや。ちょっと待って、落ち着いて!!麻紘くんとは卒業以来全く話していない。廊下でたまに会っても見て見ぬ振り状態。

 話せないんですけどー!!!!


 「いや、早瀬、ちょっと待っーー」


 「あ、麻紘?今すぐ俺らのクラス来て。10秒。」

 時、すでに遅し。早瀬は麻紘くんに電話していた。麻紘くんは多分来る。わかんないけどそんな気がする。

 麻紘くんは隣の隣ーー奏多と同じクラス。麻紘くんに会うのが気まずくて奏多のクラスには全く行っていない。


 「麻紘に会うの緊張してんの?バカだなー、」


 ある意味当たってるけど、早瀬の言っている緊張とは違う緊張。


 「いや、そうじゃなくてーー」


 「朔ー!!なにしたんだよ?」

 聞き覚えがある声に、ゆっくり振り向く。


 「結衣、ちゃん…」

 振り向いた先に居たのはーー麻紘くん。