あたし、猫かぶってます。



 「春休みのクラス会、行こうかな。」


 「…大丈夫?」


 「早瀬も連れて行ってさ、どっちが彼氏でしょう?とかやりたいな。」


 「こらこら、修羅場になるって。」

 恋人繋ぎをした手をブンブンと振りながら、あたしと奏多はゆっくり歩く。



 「で、クラス会お開きになって帰るとき、暴言吐いてスッキリして帰りたいな。」


 「…結衣、変わったね。」

 嬉しそうにそう言った奏多が。あたしを見て目を細めて笑う。



 「性格悪い彼女はヤダ?」


 「ーーー嫌なわけ、ないじゃん。」

 あたしの手をグイッと引っ張って、自分の方へ引き寄せる奏多。うまく表現出来ないけれど、顔がエロい。






 「覚悟してね、結衣。俺だってヘタレぶっているけどーーー意外に変態なんだから。」


 そう言ってあたしに優しくキスする奏多。



 変態だったのか、騙された。




 猫かぶっていたあたしと、猫かぶっている奏多。ーーーなんだ、案外お似合いカップルじゃない?



 「奏多、大好き。」


 「ーーー俺はその二倍は好きだな。」

 そう言って笑い合って、再びキスをした。飽きるくらい、どうしようもないくらい、何度もキスをして


 「好き。」


 気持ちを、伝え合った。