ただ中学の時と違ったのは、みんながあたしと話そうとしないこの状況を苦しんでいるのは、あたしだけじゃないということ。
知奈ちゃんや早瀬、そしてクラスの男子は相変わらずあたしの周りでワイワイと騒ぐ。
そんな様子をチラチラと様子を伺う女の子達の瞳には怒りは感じられなくて、戸惑いや罪悪感に侵されているような顔であたしを見る。
あたし、自業自得なのに。
いつか、あたしの悪口を言っていた二人組でさえ、私を心配そうに見つめるものだから、余計苦しくなった。
クラスの女の子とあたしの間に出来た分厚い壁のようなモノは、多分ずっと壊れないのだろう。
「結衣ー、どした?」
ニコニコと笑う知奈ちゃんに笑い返してなんでもないよと言ってみれば、なんとも言えない感情が胸にじんわり染みた。
奏多は自分のせいだと言ったけれど、あたしは自分がやってきたことが自分に返ってきただけだと思ってるし、別に奏多を恨んでない。
奏多のつらそうな笑顔はもう見たくないし、別に奏多が気を病むことでは無い。
「早瀬ちゃんなに考えてたのー?」
あれこれ考えていると、クラスの男子が話しかけてきた。本性を知ってなお、絡んでくれるクラスの男子は三分の二くらい。
「うざ、あっち行って、」
なんて笑いながら言えば傷付いたふりをして笑う、クラスの男子。
受け入れてくれている人が居ないわけではないし、どちらかと言えば中学の時よりも温かい人に囲まれている。
それなのにあたしのココロには、どうやらポッカリと穴が開いてしまったようで。
笑えてない、自分が居る。
今までやってきたことが返ってきた。信じてなかった人達が、あたしから離れた。ただそれだけなのに、やたら胸が苦しくて、自分のやってきたことがのし掛かってきて。
今更、やってきたことの最低さを、知ったんだ。
いつだって、あたしの周りには人が居ることが当たり前だったから気がつかなかった。そっか、あたし、みんなに嫌われたくなくて、猫かぶっていたんだ。

