あたし、猫かぶってます。



 田崎くんが出て行った後も、教室でボーッとする私。朝見た占いに、そういえば【予想外のトラブルに巻き込まれちゃうかも】とか言われたな、そういえば。

 うお座の私は9位という、良くも悪くも…っていうかむしろ悪い方の順位だった。


 巻き込まれちゃうかもじゃなくて、巻き込まれますって断定してくれれば私だって気持ち的に準備できたのに。ーーまぁ、占いなんてそうそう見ないけど。



 ーーーガラッ

 そんなことを考えて居ると、結衣が帰ってきた。


 顔、真っ赤。息切らしているし、なんていうか、何が起きたのかが丸分かり。きっと結衣は私が傷付かないように隠すんだろうな。だから、


 「私、もう朔くんのこと好きじゃないから!!」

 私だって、自分の気持ちを隠してやる。



 私の言葉を聞いた結衣は、どこか必死な顔で自分の気持ちに嘘をつかないで、なんて言ってきて。どれだけ結衣が私を好きなのか、伝わってきたから。


 「朔くんより、好きな人できた。」

 やっと気付いた一番大切な人を思い浮かべながら、ちょっと締め付けられる胸の痛みに我慢して、笑った。



 「麻紘?」


 「田崎くんは友達だよ。」

 結衣は田崎くんの恋心には気付くくせに、自分の周りのことには鈍感なんじゃないの?


 私が朔くんより好きになった人なんて、

 結衣しか、居ないじゃん。



 「知奈ちゃーん!教えてよ!」


 「やだ、恥ずかしい。」

 結衣が幸せになれるなら、朔くんでも奏多くんでもいいけれど、私は朔くんと幸せになって欲しいな。なんてね。








 そして、そんな生活をしているうちに、テスト期間が来て、終わって。テスト最終日に笑顔で帰った結衣を最後に。

 結衣は、朔くんと話さなくなって、笑わなくなった。