なんだよ、結局2人は仲良しなんじゃん。あたしがもしも男の子だったら、早瀬とも奏多ともずっとずっと一緒に居れたのにな。
なんて思いながら、笑う。
優しい奏多、優しい早瀬、優しくないあたし。ナイスマッチなあたし達は、それでも三人で仲良くすることを選んだ。
自分の気持ちを殺さずに、相手のことを傷付けずに、自分が悪者ににらない道を無意識に選んでいたのかもしれない。ーーけど、
この安心感を手放したくない。男好きでもタラシでも、二股でもいいから、今だけでもこの2人と、1秒でも長く笑っていたい。
最低な女って思われてもいい。きっとそれは、あたしがやってきたことのバチだから。あたしは全部受け止めなきゃいけないから。
「奏多、早瀬、帰ろ。」
三人でずっと一緒なんて、続くわけないけど、今だけは夢を見ていたいなんて思うのは、きっとあたしのワガママなんだろうけど。
無性に、泣きたい。泣かないけど。
「奏多マジ邪魔。」
「俺は結衣とリア充コースな予定だったんだけど。」
いつまで続くのか分からない不安と、前みたいな2人を見て感じる安心が、あたしの中で交互に押し寄せてくる。
行かないで、そばにいて。せめて今だけは。
心の中の色んな気持ちを全部引っ込めて、笑う。
「てか、昨日から麻紘と斎藤付き合ってるらしい。」
「え!?」
どうやら、あたしが奏多早瀬と考えている間に、知奈ちゃんもあれこれ悩んでいたみたいだ。
こうしてあたしは、奏多との1ヶ月記念日に、早瀬を好きだと改めて自覚するというダメ女っぷりを思い知らされた。
そして、この日を境に色んな人の気持ちがーーー動くことになるなんて。