そんなこんなで、結衣とたまに絡んでキュンキュンしたり早瀬くんの話を聞いて嫉妬したりしているうちに、あの日が来る。




 「あれ、結衣来なくね?」

 メール無し、着信無し。下駄箱を見たら早瀬くんと結衣の靴だけあったから、教室で話してんのかな、なんてまた嫉妬して。


 諦めて、俺は帰る事にした。

 最近、早瀬くん活躍し過ぎだよね。なんていうか、カッコいいんだからもっと大人しくしていて欲しい。

 そう思いながら、公園を通ると、


 「結衣の方が好きだなんて、納得出来ない!!」

 ーーーーーーパンッ

 乾いた音。


 驚いて、音がした方に視線を移すとーーーもっと驚くことになった。


 「早瀬くん、」

 無表情の早瀬くんと、早瀬くんから離れようとしない女の子。彼女さん、なのかな?

 「ごめん、もう付き合えない。」

 早瀬くんがそう言って、女の子は怒って帰ってしまう。

 早瀬くんってクールだけど、振り方チャラいな。女の子、かなり早瀬くんのこと睨んでいたけど大丈夫なのかな。てか、そもそもなんで早瀬くんここに居るんだろう?ーー俺より遅く学校を出たはずなのに。

 あれこれ考えながら早瀬くん見る。


 あんな修羅場があったせいか、1人でブランコを漕ぐ早瀬くんが捨てられた子犬のようで、放って置けなくて。


 「ねぇ、アイス好き?奢るから食べに行かない?」


 なんて。ついつい話しかけてしまった俺。勢いとは言え、ライバルに何してんだか。

 「嫌なら別にーー」

 我に返って慌てて取り消そうとしたけれど、



 「行きたい!」

 目を輝かせて、子供みたいにそう言う早瀬くんを見たら、今更取り消し出来なくて。仕方ないから、行くことにした。

 てか、どんだけアイス好きなの、早瀬くん。