それから、更に早瀬くんを警戒していたのに。ある日、結衣と両想いだって言うことが発覚。バカな俺はテンションMAXに上がっちゃって早瀬くんなんかどうでもよくなって。


 気付いたら、早瀬くんに結衣の唇を奪われていた。

 いや、なんかおかしくね?早瀬くんって彼女居るはずなのに、なんで結衣にキスしてんの、まじ。

 てか、順番的にハグ→付き合う→キス→手を繋ぐ、だろ!


 「麻紘、お前ちゃんと早瀬くんのこと監視してろよ。」

 麻紘が悪いわけじゃないけど。つくづく俺って嫉妬深いな。



 「朔も結衣が好きなんだって。」

 ケロッとした表情でそう言う麻紘。いやいや、好きなんだって、じゃないわ!!


 「俺の方が好きだし!!」

 こういう時、どっちが上とか無いんだろうけど、今までずっと大切にしてきた結衣を、アッサリと早瀬くんに取られるなんて。絶対やだ。


 「結衣に付き合ってって言えたらなー。」

 中学の頃から、もう18回結衣に告白しようとして失敗してる。好き、だけじゃなく、付き合ってって言いたいのに、いつも言えない。


 チキンな俺がこうやっているうちに、結衣の気持ちが早瀬くんに向いていると考えると、泣きたくなってくる。

 「奏多のチキンさは、女子レベル。そんな奏多と一番仲良しなのは俺だけど。」

 そう言いながら抱きついてくる麻紘。ホモみたいだけど、ギリギリホモじゃない。まぁ、頼れる親友?


 「結衣、好きなんだ。付き合って。」


 「いや、俺に言うなよ。結衣に言えよ。」

 …言えないから困ってんだよ、ばか。