「でもさー、幸太君、モテるんだよ?」

たしかにこうちゃんは背も高いし、顔もかっこいい。

おまけにバスケ部ではその長身を活かしてエース。

だけど私にとっては小さい頃から知ってる幼なじみ。

家が向かいにあって、お母さん同士も仲良しだから、小さい頃からいつもいっしょに遊んでいた。

私の弟の駿とこうちゃんの弟のしょうちゃんこと翔太君も仲良し。

「いいよね、あたしも彼氏ほしい!」

ちいちゃんがアルトサックスのキーを弄びながら呟いた。

「あれ、原沢君は?」

「えー、別れた!」

ちいちゃんはついこないだまで同じ部活のトロンボーン担当の原沢哲也君と付き合っていた。

「気まずくないの?」

だってこれからも同じ部活だし…

「えー?全然!あいつとはいい友達としてのほうが上手くいくのよ!」

ちいちゃん、本当にポジティブだなぁ。

私はあまり自分に自身がないから、ちいちゃんのそういうところ、羨ましいよ。

「この前さ、咲智姉ちゃんが彼氏と学校から帰ってきててさ、その彼氏がめちゃくちゃイケメンで!」

少し興奮気味にちいちゃんが言った。