手渡された弓で音を出してみるけど、お世辞にも綺麗とは言えない、むしろ汚い音。

「すみません!」

俺、結構なめてた。

これ、かなり難しい!

「初心者なんだから、当たり前だよ!まだパートが正式に決定するのは仮入部期間が終わってからだけど、コントラバスは今のところ希望者ゼロだから、多分希望すればなれるよ!」

先輩はまたその天使の微笑みで俺に優しく言ってくれた。

よし、決めた。

これから毎日、仮入部期間が終わるまで吹奏楽部に行こう。

「よろしくおねがいします!」

あっという間に仮入部の時間は終了を迎えた。

またね、という先輩に、俺は重要なことを忘れていた。

「名前、教えてください!」

名前聞かずにアタックできないよな!

勝手な持論だけど!

「二年の、内宮桃です。」

へえ…

もも先輩か。

名前までその可愛さにピッタリの可愛い名前なんだな。

「俺は春川瞬です!」

すると桃先輩はなにか面白かったのか、くすくす笑った。

その理由をしるのは、まだ先の話。

春川瞬、好きな人のために全力で頑張ります!