「それから、モリリンのケガが治って数日後モリリンは消えた。」



メイカちゃんの声は震えていた。


「消えたって?」


「生きてるか死んでるかもわかんないんだ。」


初めて見た、元ヤンの涙。

「そんなッッ…」

「秀さんは、その事件以来人が変わったように冷たい瞳をするようになった。
雫に対しての独占欲も嫉妬も強くなって。
大学に入って、雫と秀さんは一緒に暮らし始めた。
そっからだよ。
雫が青アザ作ってくんの…」

それから、雫ちゃんは泣かなくなり、笑わなくなった。

きっと、抱え込みすぎたんだ。


雫ちゃんは優しすぎるんだよ。


自分の感情を押し殺してまで、相手を第一に考える。

自分を犠牲にして、
相手を守る。

一人で抱え込みすぎるから、壊れたんだよ。



感情がぐちゃぐちゃになったんだよ。



「雫ちゃん、いつか人形になっちゃうよ。
アイツの人形に…」



「麗夜、お前がしようとしてることは森陸斗と同じだ。」