涙雨[ナミダアメ]

「テメエ…アタシの息子に手出すとはいい度胸だな!」


「ババアッッ!」


男を殴ったのは、
真っ黒なオーラを放ったババアだった。


さすが元ヤン…


「お母さん?」


「その光もんよこせや!」


相手に睨みを効かすその目は、俺を殺しかけたコイツより怖かった。


男は震えながら
ナイフを渡した。



「様子がおかしいと思ったら…テメエただじゃおかねえよ?」


「ヒイッ…」



ババアのあまりにも
恐ろしいオーラに
びびった男は、慌てて逃げていった。



瞬間俺はその場に座り込んだ。


「チビッタ…」


「麗夜、大丈夫!?」


「あ~マジで殺されるかと思った…」




騒ぎを聞きつけ、
守とメイカちゃんも来た。



「麗夜!大丈夫かよ。」


「守く~ん、痛いよ。」


ほっぺたの傷がヒリヒリ痛い。



けどなにより、
雫ちゃんが心配だ。



外はまた大雨だった。



雫ちゃん、泣いてる。




大丈夫だよ。
俺が絶対守るから