波の往来は、絶え間なく。

元の波形は、二度となく。

音の奏は、悠久に。

しかし、そのほとんどを、人は覚えない。

足元まで辿り着いたもの。

前の波に押し返されたもの。

私の目の前には、一つの貝骸。

邪険に蹴ってしまうには、儚すぎて。

愛おしくて。

…悲しくて。