まさか、近藤までこの店に来るなんて…。今日は本当に最悪な日。
しかも、何か誘われたし。暇だし、このまま家に帰るのはシャクだったからOKしちゃったけど。近藤と出掛けてどこに行くんだろ。そろそろ5:00になるけど。あいつ来るのかな。

ー5:00ー

「ななちゃん。お疲れ様」
「ありがとうございます」
「外に彼氏が待ってるみたいだから、早く行ってあげて」
「いや…あの…彼氏ではないです。ただの後輩です…」
「え?そうなの?」

あんな不良が彼氏だったら困る。
私はそんな事を思いながら、近藤の所に行った。

「お待たせ…」
「あぁ。お疲れ様」

相変わらず、上から目線だけど今日はやけに大人しく感じるのは気のせいかな。

「どこ行きたい?」
「え…決めてないの?」
「俺はあんまり、洒落た店とか行かないから詳しくないんだよ…」
「確かに…。じゃあ、ケーキ食べる?あ、甘い物とかダメだったっけ?」
「いや…食べれるよ。行こうか」

やっぱり、いつもと違う。
…やばい。何か、カップルみたいだよ。
私は、そっと近藤を見上げた。こいつ…こんなに優しい顔をしてたっけ…?

「わっ!」

そうやって、よそ見をしていたら地面の氷で不覚にも足を滑らせてしまった。

ガシッ!

「だ、大丈夫か?」

近藤は咄嗟に私の腕を掴んで、転ばないように支えてくれた。

「あ、ありがとう…」

私はその時、胸がドキッてしてしまった。違う。これは近藤にしたわけじゃない。それは分かってるけど、心配そうな近藤の顔をみるとそうでもないんじゃないかって思った自分がいた。

「…また、転びそうになったら、俺の腕、掴んでいいから」
「わ、分かった…」
「…ククッ!」
「な、何、笑ってんのよ!」
「笹井先輩って本当にドジだなと思ってさ。俺まで転ばせないようにしてくれよ」
「う、うるさい!近藤にケーキおごらせるから!」
「構わないよ」
「いっぱい頼んでやる!!」
「…そんな食えないだろ」

こいつ…。
絶対、たくさんケーキ食べてみせる!あとで、金が足らないって言って泣きついても知らないから!