「ここ、でいいのかな……?」
住所だけは、この前にちょろっと聞いたことがあった。
あたしの家に来たときに、自分だけあたしの家を知っているのが不公平だと思って、瑛太の住んでいる場所も聞いたのだ。
それを頼りに着いた場所は、ごく普通のマンション。
ピンポーン……
表札の【新條】という名を確認して、インターフォンを押した。
だけどそれに誰かが出てくる気配はなくて、もしかしたら寝てるのかもしれない。
あと一回だけ押して、出なかったら帰ろう。
と思い、インターフォンに指をかけたとき……
ドンッ……
中から何かがぶつかる音が……。
それと同時に、カチャリと鍵が開く音が聞こえ、ドアも開いた。
「どちらさま……」
「……こんにちは」
「……葵っ!?」
瑛太は、あたしが来たことにが予想外だったらしく、目を見開いて驚いていた。

