「葵?」
「触んないで」


それでも答えないあたしに、瑛太が再びあたしの腕に触れてきたので、言葉で拒絶した。


「え。怒った?」


慌てて顔を覗き込んできた瑛太に、視線だけ向け、心の底から睨む。


「あおい…?」


だけど、視線を合わせた瑛太は驚きの表情を見せていて……


「泣いてる?」


最悪にも、涙がじわりと瞼に溜まってきている。